
一粒のキャンディが変える、未来への一歩
菓子のまちから生まれた、日本初のオーガニックキャンディ「CanWe?」の挑戦
名古屋市西区。「菓子のまち」と呼ばれるこの地域には、昔から駄菓子文化が根付き、結婚式などで駄菓子を配る「菓子まき」の風習が残っています。そんな地で1963年、駄菓子の卸売業者「株式会社ナカムラ」が誕生しました。
創業から60年以上、同社は駄菓子の問屋として地元に根付きながらも、常に新しい価値を探し続けてきました。時代の変化に合わせ、2007年には企業ロゴやメッセージを組み込めるオーダーメイド飴「まいあめ」を展開。これは単なるお菓子ではなく、“食べられる広告”として話題を呼び、企業のノベルティや販促ツールとして多くの支持を集めています。
しかし、時代はさらに変わりつつありました。健康志向、エコ志向、そしてサステナビリティというキーワードが強く意識されるようになってきた中で、ナカムラが新たに打ち出した答え――それが、日本初のオーガニックキャンディブランド「CanWe?」です。
「環境にやさしい飴はありませんか?」から始まった
きっかけは、ある企業からの一言でした。
「環境に配慮した活動をしているので、それにふさわしい飴を作れませんか?」
企業のメッセージと商品との整合性が問われる時代に、ナカムラの中村慎吾専務は、単に飴を提供するのではなく、**“その飴自体がメッセージになる”**ような商品をつくる必要性を感じました。
ちょうどその頃、2020年には中村氏自身に子どもが誕生したことも重なり、「この子が大人になる未来に、何が残せるだろう?」という強い想いが生まれたといいます。
そこから始まったのが、オーガニック素材を使ったキャンディの開発。日本国内にはオーガニックキャンディの製造実績がほとんどなく、まさにゼロからのスタートでした。
CanWe? という名前に込められた「問いかけ」
「Can We?(私たちにはできるだろうか?)」
このブランド名は、環境問題に対しての“正解”を提示するのではなく、消費者と共に考え、共に行動していく姿勢を象徴しています。
キャンディという日常の中にある存在が、「地球に優しい選択」への入り口となる。それは決して大きなことではありません。しかし、その一粒に込められた思いや仕組みを知れば、「いつもの選択」が「ちょっといい未来」につながっていくと感じられるのです。
一粒の中に、サステナブルな工夫がぎゅっと詰まっている
CanWe?のキャンディは、香料や着色料を一切使わず、有機栽培で育てられたフルーツの果汁パウダーを使用。まるでドライフルーツやジャムのような、自然でやさしい甘みが口の中に広がります。
さらに、製造過程やパッケージにも徹底した環境配慮が施されています。
- 通常のキャンディと比べて、CO₂排出量を44%削減
- 包装にはバイオマスインクと植物由来のフィルムを使用
- 有機JAS認証取得の信頼性ある製品設計
「キャンディでCO₂削減?」と驚くかもしれませんが、砂糖や果物の栽培、パッケージ製造といった一連の工程が、実は大きな環境負荷を生んでいることもあるのです。
だからこそ、CanWe?はその一粒で「環境に優しいとは何か?」を感じられる設計になっており、まさに“おいしい問いかけ”なのです。
コミュニケーションを生むキャンディ
CanWe?のキャンディは、ただ食べて終わるものではありません。そのやさしい味わいと可愛らしいデザインは、プレゼントや会話のきっかけとしても選ばれています。
ちょっとしたご褒美に。子どもとのおやつタイムに。職場のデスクに置いて、同僚との会話の種に。
“飴は人と人とをつなぐツール”という、創業当初からのナカムラの信念はそのままに、時代に合った価値をキャンディに込めているのです。
そして未来へ ― 機能性キャンディ、カーボンニュートラルへの挑戦
CanWe?が「CO₂排出量を44%削減」と数値化して伝えている背景には、”デカボスコア”の存在があります。
デカボスコアは、Earth hacks社が提供する、商品やサービスの「CO2削減率を可視化したスコア」です。環境に配慮した工夫によって、従来の製品と比較してどのくらいCO2排出量が削減されたかを表示し、消費者が環境貢献度を分かりやすく理解できるようになります。
CanWe?はデカボスコアを用い、”地球とからだにやさしい飴” を数値化し、常に環境配慮を追い続け、消費者にも新たな価値観の飴として提供しています。
CanWe?は今後、さらなる進化を見据えています。
- のど飴や塩飴などの機能性を備えたオーガニックキャンディ
- 企業向けのカーボンニュートラルキャンディの提供
企業が配布するノベルティにも、環境への配慮を込める時代。CanWe?は、企業のブランディングと地球へのやさしさを同時に叶える「選ばれる飴」として注目を集めています。
飴の文化を守りながら、次世代へ届ける
「私たちは単なる飴屋ではなく、飴を通じて何かを伝える会社です。」と語る中村さん。単にモノを売るのではなく、「飴を通じて世の中を良くしていきたい」という確固たる信念があります。
名古屋の飴文化とともに歩んできたナカムラは、これからもそのルーツを大切にしながら、新しい価値を提案し続けます。
一粒の飴が、未来へのきっかけになる。
CanWe?――それは、私たち一人ひとりの選択に問いかける、おいしくて強いメッセージなのです。