
「衣食住」のあり方が変わる時代に、求められる食の視点とは。生産者とバイヤーが直接出会う2日間「Neighbors Food Market 2026」
対談者(左から)
永田 宙郷(ててて協働組合 共同代表)
白 冰(FOOD&COMPANY 代表)
谷田部 摩耶(FOOD&COMPANY ファウンダー/共同代表)
インタビュアー
盛岡絢子(P.O.S.T studio inc. 代表)
目次
なぜ今、食の商談会をやるのか
「何が売れるか」だけでなく「なぜ扱うのか」の時代
ただの商談会とは違う。Neighbors Food Marketがもたらす、新しい出会いの形
バイヤーの方に体験していただきたいこと
なぜ今、食の商談会をやるのか
── FOOD&COMPANYとして、食の商談会に取り組もうと思った背景を教えてください。
白: FOOD&COMPANYとして食品小売の事業を13年間続ける中で、ずっと感じてきた課題があります。良いものを作っていても十分に評価されないこと、粗利が低く事業継続が難しいこと、そして大手商社の流通に乗らなければ店頭に並びにくいこと。そうした現実を何度も目の当たりにしてきました。
だからこそ私たちは、作り手と買い手が直接つながる場をつくりたいと考えました。
販路開拓や取引管理、販促支援といった課題の解決を後押ししながら、魅力あるスモールビジネスの価値を最大化し、食品業界全体を盛り上げていく。その思いから生まれたのが「Neighbors Food Market」です。

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谷田部: Neighbors Food Marketは単なる商談会ではなく、志を同じくする食のスモールビジネスの担い手がつながり、新たな機会を生み出していくためのプラットフォームを目指しています。
「何が売れるか」だけでなく「なぜ扱うのか」の時代
── 永田さんは「ててて商談会」を主催されてきた立場から、現在の食の流通シーンをどのように見られていますか?
永田: 今は大きな時代の転換点にあると感じています。かつての暮らしは「衣・食・住」が中心でした。服を着て、食べて、住む。それが生きるための基本だった時代です。
しかし今は、衣食住の多くがすでに満たされています。その一方で重要性を増しているのが、健康という意味での「医」と、暮らしの充実という意味での「充」です。つまり、「医・食・充」が重要になり、心身をどう豊かにしていくかという問いが、より大きなテーマになっていくことでしょう。
その中で、「食」は従来の位置にとどまるのではなく、健康と暮らしの豊かさの両方をつなぐ存在になっていく。これからの社会において、食が果たす役割はますます大きくなっていくと思います。
白:私たちも同じことを思っています。バイヤーの食に対する感度も変わってきているのではないでしょうか。「何が売れるか」だけではなく、「なぜこれを扱うのか」という視点で商品を選ぶバイヤーが増えている。Neighbors Food Marketにも、そうした価値観を持つバイヤーの方々にぜひ来ていただきたいと思っています。


永田:Neighbors Food Marketの構想を最初に聞いたとき、「これはやるべきだ。」と直感しました。むしろ、やらないことの方がリスクだと思ったんです。日本には、食のスモールビジネスを支援する場がまだ十分にありません。品質や地域性、固有のストーリーを持つ生産者が、大手の商流に頼らず市場とつながるための仕組みは道の駅や個々の生産者による通信販売など、まだまだ地域を出なかったり規模が小さいままです。本気で、仕組みからつくろうとする取り組みは極めて少ない。その挑戦に大きな可能性を感じました。
ただの商談会とは違う。Neighbors Food Marketがもたらす、新しい出会いの形
── Neighbors Food Marketは、オンラインプラットフォームとの連動も特徴です。その仕組みや背景も教えてください。
白: 従来の商談会は、「名刺交換をして終わり」になってしまうことが少なくありません。会場では盛り上がってもその後の接点が続かず、出展者もバイヤーも次のアクションに移れないまま時間が過ぎてしまうことがあります。
Neighbors Food Marketは、QRコードを活用した来場管理とオンライン卸プラットフォームを連動させることで、当日の商談をそのまま取引につなげられる仕組みを導入しています。商談の熱量が高いうちに具体的なビジネスへ進める設計です。
また、どの出展者にどのバイヤーが立ち寄ったのか、どの商品に関心が集まったのかといったデータも可視化できるので、単に出展して終わるのではなく、自分たちの現在地を把握し、商談会で得られた機会や反応を分析しながら次につなげていける環境をつくりたいと考えています。

谷田部: 作り手同士がリアルに交流でき、つながれる展示会を大切にしつつも、受発注以外のコミュニケーションが互いに取れるような仕組みを設計したいと思っています。製造過程や、作り手の属性、想いが伝わる情報発信も含めて、一度生まれた関係性をきちんと育てていけるサービスにしたいです。
永田: それはとても大事なポイントですね。バイヤーが何かを仕入れようとするとき、いろんなことを考えますが、「自店の棚に合うか」というそもそもの視点があります。商品の良し悪しだけじゃなく、パッケージは印象が埋もれないか、掛け率は自分の店で利益が出るか、スタッフが説明できるか。そういう実務的な判断軸が頭の中にある。
だから情報を整理して渡せる仕組みはとてもいいと思います。「この商品はなぜこの価格なのか」「どんな人たちに支持されているのか」が、当日だけでなくあとからも追えるようになれば、バイヤーもサプライヤーも判断しやすくなる。それが成約につながっていく。
谷田部: 情報を発信して、会って、話して、魅力を伝えて、共感してもらう。様々な出会いの場を重ねることが大切だと思っています。リアルとオンラインを組み合わせた仕組みで、生産者とバイヤーが長く、深くつながっていける環境を作っていきたいんです。
バイヤーの方に体験していただきたいこと
──Neighbors Food Marketに来場されるバイヤーの方々には、当日どんな体験をしてほしいですか?
谷田部: 試食しながら、生産者本人に話を聞いてほしいんです。オンラインでは絶対に伝わらない温度感がある。どんな土地で、どんな思いで作っているか。なぜこの素材にこだわるのか。その話を聞いた上で口に入れると、同じ商品でも全然違って感じられる。


白: 過去2回の商談会で、来場者満足度は4.48(5点満点)、商品クオリティへの評価は4.52という数字が出ています。三越伊勢丹、高島屋、星野リゾート、ミシュラン2つ星のレフェルヴェソンスといったバイヤーさんも来てくださっています。それは「ここにしかいない生産者と、直接つながれる」という場の価値を、みなさんが感じてくれているからだと思います。小さなブランドの魅力は、作り手の考えや世界観がストレートに商品に表れるところ。そのような商品やブランドに対して、今多くのバイヤーさんの関心が高まっています。
永田: バイヤーさんは、目的を持たずに来たとしても必ず出会いがある場と思っています。「何かいいものを見つけたい」でいい。きっと良い商談会って、来る前に想定していなかった出会いが生まれる場所なんです。
私がよく思うのは、「棚に合う商品を探せる場より、店を変えてくれる商品を探せる場になる」ということ。いつも同じ商社経由の商品だけを並べていたら、お店の個性は生まれない。今の時代、お客さんの方が情報を持っています。バイヤーさん自身が「これは知らなかった」と思える商品と出会うことが、お店の魅力につながっていく。
谷田部:まさにNeighbors Food Marketは、そういう出会いの場として育っていってほしいんです。地域の生産者にとっては、都市部に売り場を持つバイヤーに自分たちの思いやストーリーを直接発信できる機会。バイヤーにとっては、日本全国における食や作り手、地域の潜在的な価値を発見できる場所。その両方にとって「来てよかった」と思える2日間にしたい。
永田: 食がこれまで以上に店頭の魅力になっていく時代に、Neighbors Food Marketはその最前線に立とうとしている。生産者とバイヤーが対話しながら、新しいマーケットが生まれていく。そういう場が日本にもっと必要だと思うし、Neighbors Food Marketにはその核になる力があると感じています。
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Neighbors Food Market 2026について
日時: 2026年6月11日(木)・12日(金)
会場:スパイラルホール(東京・青山)
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