
福島から生まれる“音楽と農のコラボレーション”―SILENT SIREN × ふくしま農家の夢ワイン
福島県・二本松市の山あいに広がる東和地区。豊かな里山で営まれる小さなクラフトワイナリー「ふくしま農家の夢ワイン」は、地域の果実と真摯に向き合いながら、確かな歩みを続けています。
そして今回、結成15周年を迎えたガールズバンド「SILENT SIREN」とのコラボレーションが実現しました。
音楽と農業。まったく異なる世界に見えるふたつが、なぜ出会い、ひとつのワインになったのでしょうか。
ストーリーのある商品が集まるNeighbors Food Marketにぴったりのストーリーを持つワイナリーの代表本多様と商品のネーミングやラベルデザイン等を担当したSILENT SIRENの3名に、それぞれの思いや背景をお聞きしました。
地域の耕作放棄地から生まれた、“夢”という名のワイン
「最初はワインの“ワ”の字も知らなかったんです」と、ふくしま農家の夢ワインで醸造を担う本多さんは笑いながら話します。
実家が農家だったことから農業には親しみがありましたが、父親が2009年頃に突然「ブドウを植えてワインを作る」と言い出したことが、ワイン造りの出発点だったそうです。そこから仲間たちと会社を立ち上げ、農業と醸造を一から学ぶ日々が始まりました。

「二本松・阿武隈地域はかつて養蚕で栄えていましたが、今では耕作放棄地も増えています。若い人が“面白い”と思える産業をつくれないかと考えたとき、ワインはひとつの希望でした。ワイングラスを傾ける感じ、ちょっとオシャレでしょ? 若い人にも響くと思ったんです」
“夢ワイン”という名前には、その小さな挑戦への希望が込められています。
震災が生んだ、もう一つの挑戦――シードル
2011年の震災では、福島の果物が出荷停止となり、多くの農家が苦しい状況に立たされました。
「畑で廃棄されてしまう果物をなんとかできないかと思ったんです」と本多さん。
そうして生まれたのが、りんごを使ったシードル造りでした。
二本松の東側にはりんご農家がたくさんいます。出荷できずに困っていた農家からりんごを買い取り、試行錯誤しながら醸造を開始。その後、ワイン特区制度を経て正式に醸造免許を取得し、東北でも先駆けのクラフトワイナリーへと成長していきました。

現在では、地元の羽山りんごを使ったシードルは、ほんのりとした甘さと複雑な香りが特徴の人気商品となっています。
ワインもこだわりの一品ができました。「一慶(いっけい)」は、日本で栽培しやすい山ぶどうとの掛け合わせで生まれた品種 ”ヤマ・ソーヴィニヨン” を使用し、スミレのような香りほどよい渋みを楽しめるワインとなっています。

福島出身メンバーがつないだ、今回のご縁
SILENT SIRENにとって、福島は特別な場所です。
ギター・ボーカルのすぅさんが福島県白河市出身で、これまでも県内での活動やつながりが深く、「福島で頑張っている人たちと何か一緒にできたら」という想いが常にあったそうです。

「ふくしま農家の夢ワインさんの取り組みを知り、ぜひご一緒したいと思いました。ワインへの情熱や、地域への想いが素晴らしいんです」と語ります。
今回のコラボで生まれたのは、
●赤ワイン「Chateau Romanshu CHEERS SIGN!」
●スパークリングワイン「Chateau Romanshu Sparkling Shine」
●シードル2種「YOI」,「YOIN」
の計4つの商品です。
“Chateau Romanshu”という名前に込めた想い
「Chateau」はSILENT SIRENが運営するコミュニティアプリの名前で、“ファンとバンドが集まるお城”のような場所を指します。
そこに“ロマンチックなひとときを楽しむ酒=ロマン酒(Romanshu)”という言葉を重ねています。
「飲む人の時間がロマンチックで素敵なものになるように、という願いを込めています。初めて見る方にも、名前でワクワクしてもらえたら嬉しいです」とすぅさんは話します。

ラベルをデザインしたのは、ベースの山内あいなさん。
「私たちの乾杯の掛け声“Cheers!”から、“Cheers Sign”というテーマにしました。飲んだ後も飾っておきたくなるようなデザインにしたかったんです」
キーボードの黒坂優香子さんがネーミングを考案した「Sparkling Shine には、飲む人の時間をキラキラ輝かせたいという想いを込めました。コミュニティアプリのChateauの会員呼称《SHINE(社員)》にも通じています」

YOI と YOIN —— 2つでひとつの物語
シードルは、アルコール度数の違う2種類がラインナップされています。
●YOI(8%)…しっかり酔える、食事にも合わせやすいシードル
●YOIN(5%)…軽く飲みたい人向け、余韻を楽しむ柔らかい味わい
「2本でひとつのセットとして楽しんでもらえたら嬉しいです。名前を見て、“どんな味なんだろう”とワクワクしてもらえるように工夫しました」
シードルのラベルは、YOIとYOINの世界観を色で表現し、リンゴのモチーフをひと目でわかるようにしたとのこと。

コラボで知った“ワインの奥深さ”と“福島の底力”
SILENT SIRENのメンバーは、今回の取り組みを通じてワイン造りの奥深さに驚いたと言います。
「一本のワインができるまでに、これほど多くの時間と情熱が必要だとは知りませんでした。農家さんの姿勢も本当に素敵で、福島の力強さを改めて感じました」

一方で、ワイナリーの本多さんにも新たな発見がありました。
「ワインは敷居が高いと思われがちですが、サイサイさんのおかげで若い方や普段ワインを飲まない方にも興味を持っていただけるきっかけになります。本当にありがたいです」と本多さんは話します。
ワインがつなぐ、未来へのメッセージ
本多さんは最後に、こう語ってくれました。
「ワインは構えずに楽しんでほしい飲み物です。家庭料理やお漬物にも合いますよ。仲間と笑いながら飲んでもらえたら、それだけで十分です。今回のコラボが、福島の農業の未来につながることを願っています」
そしてSILENT SIRENからもメッセージが続きます。
「ラベルの可愛さや名前で手に取ってくれた方が、“福島のお酒って美味しいんだ”と感じてもらえたら嬉しいです。これからもChateau Romanshuが多くの人の時間に寄り添っていくことを願っています」
福島の里山で育った果実と、音楽を届けてきたアーティスト。
一見遠く離れた世界同士が、一本のワインによってつながりました。
その味わいはきっと、飲む人それぞれの人生や記憶をそっと照らす“ロマン酒”になってくれるはずです。




