スリランカでしかつくれないヴィーガンフードの魅力をまっすぐ伝える「ambara」。 Neighbors Food Marketで広めたい、心と体の健康とは?―ambara/代表 宮武 美由紀さん
5000年もの歴史を持つ、インド発祥の「アーユルヴェーダ」。今回は、そんなアーユルヴェーダの中でもとりわけ人も環境もピュアな土地・スリランカに根ざしたアーユルヴェーダの考え方に基づく、オーガニックな食のブランド「ambara(アンバラ)」ご紹介します。なぜ、アーユルヴェーダの中でも「スリランカ流アーユルヴェーダ=ヘラウェダカマ」というニッチな世界に飛び込み、日本で広めたいと考えたのでしょうか? そこには、Neighbors Food Marketもおおいに共感する、「食と健康」へのまっすぐであたたかいまなざしがありました。
「食の観点から自分をケアする」。アーユルヴェーダの考え方で心と体を健康に
心と体にやさしいものづくりを応援するNeighbors Food Marketには、日々、新しいブランドさんが参加してくださっています。
今回ご紹介するambaraは、「植物の力で、あるべき私へ」をテーマに、スリランカで自然のままに自生している植物など天然の原料を厳選し、日本で製品化。100%オーガニックなアーユルヴェーダの食品を製造・販売しています。お互いの考え方や目指す未来に共感して当サービスへお誘いした、2023年にデビューしたばかりのブランドです。
“世界最古の医学”とも言われるアーユルヴェーダは、西洋医学や漢方などの東洋医学ともまた違うアプローチで健康を追求する考え方です。その名前は聞いたことがあっても、具体的にはどんなものか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
心と体の健康に「自然」と「ホリスティック(全体のつながり・バランス)」を重視した方法を取り入れる様式で、食事療法・ヨガなどの運動・生活習慣に、ハーブなどの自然由来のものを組み合わせたもの、と厚生労働省でも定義されています。
アーユルヴェーダのユニークなところは、単に“医学”として病気や怪我の時にだけ触れるものではなく、主な考え方としては、食事や運動・生活習慣などの“ライフスタイル”から健康的であろうとしながら、必要に応じて病気や怪我にも対応するという点です。
つまり、「自分の生活や体調をコントロールすることで、健康的な体を保つ」…当たり前のようでいて、おろそかにしがちな大切な考え方を体系化したものがアーユルヴェーダなのです。
その健康的な考え方は世界中に広がり、日本でもスパ・エステや料理などでアーユルヴェーダに触れられる機会も年々、増えています。
そんなアーユルヴェーダがインドからスリランカに伝わる前、紀元前よりスリランカに根付いていた医療とアーユルヴェーダが結びついたのが、「ヘラウェダカマ」という伝承医療です。
「ヘラ(=私達の)ウェダカマ(=医療)」という名の通り、スリランカの村には今でも専門の大学を出て免許を持つ、ヘラウェダカマのお医者さまが日々、独自のハーブを調合して人々の治療をしているのだとか。
そんな「ヘラウェダカマ」に共鳴し、ライフスタイルから自分が変わっていった経験を食の世界から伝えようとブランドを立ち上げたのが、ambaraの主宰・宮武美由紀さんです。
ambaraでは、ヘラウェダカマ医師の調合で作ったアーユルヴェーダのハーブティーやスリランカ固有の椰子から取れる、ヴィーガン甘味料「キトゥルハニー」などを製造し、販売しています。
もちろんスリランカといえば、1972年までは「セイロン」と呼ばれていた国ということからも分かる通り、お茶の栽培も有名です。スリランカのヘラウェダカマ医師が監修し、スリランカで製造して現地の雇用や経済に寄与しながら、日本で販売をしているambaraのハーブティーは、ヘラウェダカマ医師の特別な「処方箋」で作られるオリジナルのお茶。
スリランカ固有のアーユルヴェーダ…と聞くと、現代の日本人からはとてもニッチで謎めいている、神秘的なようにも感じますが、宮武さんはどのような経験からブランドを立ち上げたのでしょうか。
抱えてしまった「疲れ」「モヤモヤ」を変えてくれた、アーユルヴェーダとの出会い
「私はもともとアレルギー体質なところがあり、子どもの頃から添加物には気をつけた食事をとっていました。ですが大人になり、出産を経て、仕事を再開して…と、暮らしが変わるにつれ、徐々に不調が出やすくなっていて。その後転職してからも、突然原因不明の蕁麻疹が出るようになって、仕事を急遽お休みしてしまったり…。
でも、仕事は楽しかったから、常に交感神経が優位でつい不調をスルーしてしまって。
その後、環境が変わって会社を辞める時に、『これからの人生も、この原因不明の不調が将来もわからないままなのだろうか…』とモヤモヤしてしまっていました。」
「とにかく仕事が好きで。忙しい時は、10分で食事を済ませて、すぐに仕事に戻るような生活でした」と宮武さん。日本で働く人の多くが陥りがちな「気を張って、自分の体調をおろそかにしてしまう」ということで抱えた宮武さんのモヤモヤを解決してくれたのが、マレーシアへの旅で出会った、インドの文化だったそうです。
「夫が仕事で滞在していたマレーシアのクアラルンプールへよく家族で行っていて、滞在中は現地のインド人街によく行っていました。その中で、海外の食や文化に興味を持ち、アーユルヴェーダの発祥であるインドの食文化に特に興味を持ちました。」
そこで最初にアーユルヴェーダに触れられる地として選んだのが、インドとは地理的にも近く、日本と同じ仏教国のスリランカだったのだそうです。スリランカでアーユルヴェーダの施術を受け、自分の体のことを相談したり、添加物が一切使われていない食事をしばらく続けた際に、「不調の原因は、自分の体質を知らずに選んでいた食生活だったのかも。アーユルヴェーダだったら、自分の不調を解決できるかも、と感じたんです。」と宮武さん。
スリランカ流のアーユルヴェーダとは、どんなものなのでしょうか?ambaraのアイテムから掘り下げて伺いました。
スリランカにしか自生していない椰子の花から直接取れる、ヴィーガンハニー
インドから仏教が伝来するとともに伝わったアーユルヴェーダと、そのもっと昔から根付いていた土着の医療が結びついたアーユルヴェーダの「ヘラウェダカマ」に体調回復の兆しを感じた宮武さん。そんなスリランカには、伝統や伝承への敬意が今も色濃く残っています。
「インド神話では、王様の使いのハヌマーンという猿神が王の傷を癒やすために薬草をランカー島(現在のスリランカ)まで運び、その一片を落とした場所には他にない特別な植物が自生している…という伝説もあるくらい、スリランカは特別な場所なんです。」
ambaraのヒーローアイテムである砂糖の代替甘味料「キトゥルハニー」もまた、スリランカにしか自生していない孔雀椰子(キトゥル)の花蜜を直接採取して煮詰めた、天然のヴィーガンシロップです。
インタビュー中に、キトゥルハニーを実際に試食させていただきました。「ハニー」と言うだけあって、花蜜らしいしっとりとした濃厚な甘みに加え、どこかスモーキーさを感じる風味は、日本のみりんのようなコクも感じます。
「スリランカでは、水牛のヨーグルト(ミーキリ)やパンにかけたりと、砂糖の代わりに使うことはもちろん、コクのある風味を生かした料理にも伝統的に使われていました。
私のおすすめの使い方は、オーツミルクラテに入れること。キトゥルハニーならではのまろやかなコクがオーツミルクとよく合って、本当においしいです。
また、我が家では娘が和食好きなので、キトゥルハニーをみりん代わりに、醤油麹と合わせて調味料として煮込み料理を作ったりもしていて、とても取り入れやすいですよ!」
スリランカにしかない“いいもの”をまっすぐ、日本人に届けたい
また、一時期販売していて、現在リニューアル中なのが、そのキトゥルハニーを使った「キトゥルチョコレート」。
こちらは、宮武さんの考案したambaraオリジナルの商品なのだそうです。
「基本的には、『伝承されてきたヘラウェダカマをまっすぐ届けたい』というのがambaraの方針ですが、私はアーユルヴェーダでいうところのヴァータ体質なこともあり、甘いものも大好きなんです(笑)。ただ、どうしても添加物の入った甘いもので不調が出やすかったので、同じような体質の方も安心して食べられるおいしいものを、と思ってできたのが、キトゥルチョコレートです。より手にとっていただきやすいように、リニューアルをしています。
アーユルヴェーダというと、スパで頭にオイルを垂らすトリートメント(シロダーラ)などのイメージが先行していますが、しっかり学ぶと『食=インナーケア』を大事にしているということがよくわかります。
第一に、体に未消化のものを溜めない食生活で中から代謝を上げること。そして、マッサージなどで代謝を外からも促す、というサイクルなのです。『外から良い刺激を受けても、中に悪いものが溜まっていたら良くないよね』というのが、私がアーユルヴェーダから学んだ一番のことでしたね。」
ambaraでつくるものは、宮武さん自身が以前そうだったように、「ライフステージが変わり、背負うものが増えて悩む現代の日本の人たちに、生活の中に簡単にアーユルヴェーダの知恵を取り入れてもらいたい」という思いが込められているのだそうです。
「不調がなかなか改善しなかった時に、根本の原因が分かったことで穏やかさを取り戻せたという自分の経験から、『自分の体調をコントロールする』ということの大切さを知りました。
日本にいるとどうしても気を配る・気を張るということが当たり前になってしまいますよね。お疲れの体にやさしい食べ物を取ることで、中から体の循環を支えるというアーユルヴェーダの考え方。より日々を充実したものにしてもらえたら嬉しいです。」
ambaraのロゴには、さっき話してくれた「ハヌマーン」が描かれています。この素敵なパッケージも、スリランカで手づくりされた100%再生紙を使用したこだわりの素材を使用したもの。
パッケージそのままでも、センスの良いギフトになるような上質感です。
「ambaraは、商品開発の時にコロナ禍が起こり、監修していただいたヘラウェダカマの先生の所にも患者さんが増えて、開発にも時間がかかりました。でもその分試行錯誤し、こだわりを大事にしながら完成したのが現在のラインナップです。
これからもいろいろなものを生み出したいですし、他の食品を作っている方とのコラボレートもいつかはしてみたいです! Neighbors Food Marketでお取り扱いしてくださるお店が増えることはもちろん、『コラボしたい』と言ってくださるような広がりも期待しています。」
スリランカは2021年に公式に化学肥料の輸入をやめて有機農業を推進したり、2023年には使い捨てプラスチック製品の製造・販売を禁止したりと、アジアを代表するオーガニック先進国でもあります。
また、世界的に見ても平均寿命が長く、お米が主食で、仏教徒が多いところは、日本人がどこか親近感を感じる、とても魅力的な国。
そんなスリランカの“いいもの”を届けるambaraのアイテムは、アーユルヴェーダを手軽に体感できる、新しい食の架け橋です。
ぜひこの機会に、お取り扱いやコラボレートのお声がけをお待ちしております!